キリマンジャロのアホ


序章:日常に不足したもの

本編:キリマンジャロのアホ
後記:登頂したい人たちに    

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
2000.09.18
ホロンボハットの夜はふけて Part3(フリージング)

戻る 進む  メニュー

寒さで目が覚めた。
まるで、高熱が出たときのようにガタガタと震えが止まらない。
現在の外気温は-1℃〜-2℃程度であろう。
冬用のシュラフで寒いはずはない。
ましてや、暖房はなくとも小屋の中だ。

カゼが悪化したのだろうか?
高所では、呼吸に影響を与える解熱剤は、高山病を悪化させるので使用できない。
抗生物質を1錠飲む。
カイロを体に貼り付ける。
暖かくならない。
正確には、カイロの温度は上がっているのだが、体が温まらない。
シュラフの性能が充分な場合、厚着をしても血行を悪くするため、逆効果だ。

睡眠中は、呼吸法を意識できない。
充分に高度順応する前に、睡眠を取ると、高山病を悪化させる。
カゼの症状に似たこの状態は、高山病の症状なのだ。
しかし、今の私が、カゼが原因の症状であるのか、高山病の症状でであるのかを判断する材料は乏しい。
心拍数は80/minほどだ。(平常時60/min以下)

可能な限り自分でコントロールするしかない。
「右手が熱い。まるで南の島で太陽の日差しを浴びているように熱い。」
呼吸法を採りながら、1人ぶつぶつとシュラフの中で自己暗示をかける。
この方法で、体温で最大0.5℃の変化を与えることが可能だ。
右手が温まったら、次は左手に集中する。
次は右足、左足、腹。
そして、心拍数を下げる自己暗示を与える。
2時間ほど集中する事で、全身に暖かさを取り戻せた。
山は、気合なのだ。