キリマンジャロのアホ


序章:日常に不足したもの

本編:キリマンジャロのアホ
後記:登頂したい人たちに    

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
2000.09.17
マンダラハット珍事はつづくよどこまでも

戻る 進む  メニュー

山の夜は冷える。
私も日が落ちると同時に、厚手のフリースに着替えた。

宿泊する小屋は、2つに分かれた。
私の宿泊した小屋は、4人部屋でそれぞれ簡単なベッドがついている。
手前の左に私、右にフクちゃん、奥にドーネンが陣取る。
奥だけが2段になっている。
神様は、神棚へと言うわけではないのだが、奥の2段目へ収まってもらう。
小屋にはそれぞれソーラパネルが付いてはいるが、照明が機能するものは少ないようだ。
夜は、個人持ちの懐中電灯だけが頼りになるのだ。

冬用のシュラフに包まれながら、心地よい眠りがどれほど続いたのだろうか。
「ドスン!」と言う大きな音と、「きゃー」というフクちゃんの声で目がさめた。
枕もとのミニマグライトを点けて状況を確認すると、2段目の神様が20年来愛用の匂いの沁み付いたザックをフクちゃんの顔の上に落としたらしい。
神様は、長嶋茂雄のような表情で「あいむそーりー」と言っている。
ドーネンはその物音に気づかずに眠っている。

・・・・しばしの静寂があった。
心地よい眠りがどれほど続いたのだろうか。
「ドスン!」と言う大きな音と、「きゃー」というフクちゃんの声で目がさめた。
ドーネンが「すみません」と謝っている。
枕もとのミニマグライトを点けて状況を確認すると、2段目の神様が20年来愛用の匂いの沁み付いたザックをフクちゃんの顔の上にまた落としたらしい。
「もうそこに、置いといて下さい」と、神様が言う。
しかし、ドーネンは何を謝ったのだろうか???。

考え出すと夜も眠れない私なのであった。