2007年06月20日
2007年06月21日
2007年06月22日
2007年06月16日
2007年06月23日-2

【2007年06月23日-2】

・最も重要なミーティング

この日、爆漕永井がある提案をしてきた。爆漕永井はパドリング・スポーツ系のアスリートである。この大会でニヌハ2に初めて乗船するのだが、この24時間でクルーの動きと艇の性能を冷静に観察していたらしい。
提案内容は、以下のようなものだった。
「漕ぎ手の力が無駄になっている。 漕ぎ手の力が上下運動になっており、バウがパンチングして船のスピードが止まる。前の水を後ろに運ぶように漕がなくてはいけない。」
この状況は私も理解していたが、それを明確に表現するクルーがいることで勇気付けられた。
あとは、この事をクルー全員に理解してもらうための方法を探さねば。
昼のフェリーで、那覇在住の特命高橋とリハビリ田中が到着した。これでやっとチーム全員が揃った。
沖縄在住選手は、既にニヌハ2の性能を理解している。
これまでの練習で、低い着座位置での漕ぎの姿勢もできている。
私は特命高橋に今の状況を相談した。彼の意見は明確だった。
「ああ、ニヌハ2は高い着座位置で使うように設計されていません。アウトリガーもそういう構造ではないし・・・。私がみんなに言いますよ。」
また一人、同じ意見のクルーが揃った。
修正したフォームでの実践練習時間を考えると、昼食後のわずかな時間がミーティングのラストチャンスだ。

いつもの座間味食堂での昼食後、ミーティングを開始した。
今思えば、このミーティングこそが、今回のレースの最大のヤマ場だった。
その内容は次のようなものだった。
・来年は古式サバニ「ニヌハ3」へ移行する。
 その為、 選抜メンバーによるニヌハ2での出場は、これが最後になる。
・ニヌハ2での最終レースで、上位の成績を残したい。
・忠さんからは、シングルでゴールすることを託されている。
・シングルでゴールするためには、昨年と同条件の場合、20分の短縮が必要だ。
・昨年は交替時間でロスが目立った。今年は、交替を1回のみの作戦を採る。
  1交替で完漕するためには、選手は2時間を漕ぎ続ける事が要求される。
  他に、シングルに入る為の作戦があれば、意見をもらいたい。
・ニヌハ2はアウトリガーの浮力が小さく、アウトリガーは風上にある「やじろべえ」の機能しかない。その為、浮力の大きい「海想」艇と同じように高い着座位置に着くとバランスが悪くなり、帆に充分な風を入れることができない。
 (特命高橋に意見をもらう。)
・現在の姿勢では、漕ぎ手の力が上下動になり、艇が前に進む力になっていない。みんなの力を無駄にしたくない。
  (爆漕永井による、論理的な漕ぎ方の説明をしてもらう。)
・女性チーム「うみないび」は常に上位に入っている。
  俺たちの方が腕力がある。俺たちの方が恵まれたサバニに乗っている。
  では、なぜ俺たちは上位に入れない?
  何かが間違っているからだ。それを正せばいい。

過去3年間、レースの前は何週間も沖縄に通い続け、準備ををしてきた。
今回も膨大な問題点・改良すべき箇所を発見し、忠さんが中心になってそれを修正した。
過去2回のレース後、ニヌハ2の一部のクルーは、奄美大島を目指して旅に出ている。
しかし、レース前に休暇を使い果たす私には、その旅に参加する術がない。
そんな色々な思いと共に、言葉が込み上げてきた。
再度、明確に伝えた今回のプランに、反対する者は1人もいなかった。
皆がこのレースの意味と目標を理解した瞬間だ。

続いて、先発の選手と交替選手を発表した。
先発:南極大城、ホーボジュン、リハビリ田中、爆漕永井
交替:伊東画伯、鶏肉山田、特命高橋
爆漕永井は、4時間ぶっとうしで漕ぎ続ける作戦だ。
かわいそうだが、この時点ではリリーを補欠選手とした。


・最後の練習

午後には船検がある。
船検の合間をぬって、低い着座位置での漕ぎの練習を開始した。
ニヌハ2は浜比嘉で練習した時の様に安定した。
それ以上に、全員の意識が統一されたことにより、パドリングが合い始めた。
着座位置が下がったことにより、帆も出来るだけ低い位置に下げて、船体が不用意にヒールすることをを抑える事ができる。
風を捉えたニヌハ2は速度を上げた、アビームで7ノット!
まるで二流の青春ドラマのようだ。
いまやニヌハ2は、午前中の状態からは信じられない程の絶好調ぶりを示している。
クルー全員に笑顔が戻ってきた。
共同作業にも力が入る。
なんて、単純な連中なんだ。
なんて、素晴らしい仲間なんだ。

リリーが着座位置に着いたのはこの練習が初めてだった。
どうやら、2時間の仕事に耐える事ができそうだ。
「風が弱ければ、パワーのある鶏肉山田、風が強ければ軽量のリリー」
交替時のプランBも出来上がった。



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