R-1
R-2
R-3
R-4
R-5
R-6

【R-4】

・決着

潮流とうねりがぶつかり合い、複雑な波が船体を激しく叩く。
渡嘉敷島の北端に差し掛かる頃、再び「まいふな」山城艇長が「ニヌハ2」の風上に襲いかかる。
しかし、この場所の岩陰は風裏になる。
風上が有利とは限らない。
風下に進路を変え、岩との距離を稼いで帆の上端に風を入れニヌハ2を加速させる。
古式サバニに果敢にチャレンジする山城艇長に敬意を表しつつ、ここからは前を走らせていただくことにする。

儀志布島の北端を抜ける頃には、島に沿って流れるアビーム(横風)が入る。
ニヌハ2が最もスピードに乗れる風向きだ。

【R-4.1】

・ 誤算
強風が吹けば、セーリングが重要なレースになると思っていた。
エイクよりも、帆の力に頼るものだと思っていた。
しかし、初めて上位グループに食い込んで分かったことがある。
上位グループはどんなに風が吹いていても、エイクの力を抜かないと言うことだ。
今やニヌハ2のGPSが示す速度は、私が作成したどの計画数値よりも速いものだった。
置かれた立場が選手を1つにまとめている。
全員がスーパーアスリートに変身した瞬間だった。



引用:「不良のアウトドア」

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