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R-4
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R-6

【R-2】

・ スタート

AM8:00 ルマン方式でレースがスタートした。
新型のフリップ・ラダー・システムのおかげで、素早いダッシュが可能だった。
漕ぎ手の力も、確実に推進力になっている。
パワーのある選手を集めたスタートの布陣により、上位チームとの混戦に入り込んだのだ。
一般的にレース中の選手交代は3回から7回行われる。
我がニヌハチームの作戦は1交代のみ。
つまり、この爆漕ぎを2時間続けるつもりなのだ。
そして、爆漕永井は前後半4時間を漕ぎ続ける計画だ。
この馬鹿げた計画がうまくいくかどうか。
いずれにしても、肉体の限界を要求する作戦だ。

スタートから5分経過。
予定をはるかに上回るペースで漕ぎ進んでいる。
これでは、全員の体力が持たない。
爆漕永井が中心になって「合わせて!ゆっくり!」と声を掛け合う。
全員のエイクのが合うと、ゆっくり漕いでも、GPSが示す艇のスピードが落ちない。それどころか、さらに力強く進んでいるように感じられる。

潮流のある場所まで出ると、地元のチームは岸沿いの岩との狭い水路を抜けようとしていた。
進路を変更して、追撃だ。

変進後の風向はランニング(追い風)。
縮帆を解けば、さらに風を利用できるだろう。
しかし、さらに高い位置に帆を掲げることになり、転覆の危険が増す。
また、昨年と比較すると、帆の性能はかなり向上している。
しばらくはこのまま進み、波が収まる後半に縮帆を解き 、TURBOよろしく加速する計画だ。

予想はしていたが、強烈なうねりが押し寄せてきた。


引用:「不良のアウトドア」



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