2007年05月26日
2007年06月02日
2007年06月09日
2007年06月16日

【2007年06月02日】

・船首の形状

今回の加工では、船首が削り込まれ、よりシャープな印象になった。ほぼ垂直な船首部分が、後ろに行くに従い、きれいな曲線を描いてほぼ水平に繋がる。
鋭く波を切り裂き、深く沈めたカーラは、横風を受けてもドリフトせずに船体を前に推し進める。
美しい曲線は、曳き波を作らずに静かな走りをもたらす。
仲村氏のイメージでカンナが入れられた。

・カーラの保護板
カーラの保護板が磨り減っていた。
念のため交換することにしたが、 それを固定するボルトの頭は、既に紙のように削れていた。
交換する判断をして命拾いだ。
・船尾の形状
船尾も同様に削り込まれた。
現状がBESTではない。過去がBESTではない。
だから加工する。
美しいものが速い。
海でも、陸でも、自然界でもそれは同じ。
・WATCO
伝統的なサバニの仕上げ方法は、鮫の脂を塗りこむ事だ。
鮫の脂は長時間海水を弾き、木の呼吸を妨げない。
また、陸上では黒いカビを発生させ、このカビが船体の強度を上げるらしい。ただし、強烈に臭う上に入手が困難だ。
これまでニヌハ2は、鮫の脂ではなく、かまぼこ屋の廃油を塗りこんできた。黒いカビも生えている。
しかし、今回はワトコを使用することにした。
ワトコは木材の内部に浸透後、酸化重合作用によって固まり始め、液状から半永久的な弾性と剛性を兼ね備えた固形に変化する。しかも、木になじみ、呼吸を妨げず、湿度を保ち・・・
英国では70年の歴史がある仕上げ油だ。
・着座位置
着座位置に関しては、昨年大激論に至った問題である。
漕ぎ手の立場からは、着座位置は高い方が船体の側壁が邪魔にならずに力を入れやすい。
しかし、ニヌハ2はサバニ本体が走る姿に近い構造を持つ。
アウトリガーには余分な浮力を持たせてはいない。
仲村氏は迷わず着座位置をさらに下げた。
この着座位置でも漕ぎ続けることができることは、糸満市立中央図書館が保管する昭和初期の貴重画像を見ることによって知った。
風が吹き、海が荒れるほど、この艇の性能が見えてくるだろう。

 



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