データ


6月30日 9:01  

一昨年、昨年の覇者「海想」との練習。
「海想」は、「ニヌハ2」を応援してくれているいわばお友達。
浜比嘉での練習時には、抜き去ることも可能だった「海想」は、セッティングを変更してきた。
さすがといえる仕上がりだ。
いまや、1時間走ると約15分の差をつけられてしまう。
ゴールまで4時間走ると1時間の差をつけられることになる。
「ニヌハ2」の強みは、横風〜向い風での性能。
しかし、この条件下でも追いつくことは不可能になっていた。
帆綱を握る僕だけは、この時既にそのことを思い知らされていた。
可能なセッティング変更は、全て試してみた。
しかし、GPSを持ち込まなかったためにデータでの把握ができなかった。
僕のおんぼろヨットで鍛えた目測だけが、チームのスピードメーターだった。

それでも、「ニヌハ2」は決して遅いわけではない。
条件が揃えば6ノット(目測)で走っているし、そうでなくても4ノットで走っている。

仮に平均6ノットで走りきれば、コースレコードを1時間近く縮める午前11時30分までにゴールできる。
平均4ノットであっても、ランチタイムの終わる午後1時までには那覇に到着できる計算だ。
つまり平均4ノットを少し上回れば、これまでの優勝タイムに近い時間帯にゴールできるはずなのだ。

しかし、事実「海想」に迫る術はない。
それどころか、他のどの艇も性能を上げて来ている。
「海想」の帆を遥かな目標物にして走り続けようとしていた僕の考えは、最初の1時間だけしか有効ではないことを、データが物語っていた。

kaisou