難 

突きつけられた難問
データの収集

試走は20分ほどで終了した。
それ以上は危険だと判断したからだ。
しかし試走の結果、貴重なデータが得られた。
それは大きな問題の提起だった。

ラダー:
ニヌハではエークをラダーとして使用していた。
それこそがトラディショナルなサバニであるとのこだわりだった。
そのこだわりは、ニヌハ2世号の場合には通用しなかった。
常に風上を向こうとする船体は、エークを支える人間の筋力を嘲笑うようだった。
とても、支えきれる力ではなかったのだ。

復元力:
昨年、風で苦労した我々は、今回は高いマストを作成した。
しかし、そのマストを装着した時点で、ニヌハ2世号には船体を支えるだけの復元力がなかった。
旅サバニとして作成したニヌハ2世号は、船体を極限まで軽くするように設計されている。
それが裏目に出ているかもしれない。
「空荷のカサラノのよう」と、表現すれば理解してもらえる方も多いだろう。

カーラ:
ニヌハ1号では、充分な試験の結果、カーラの先端を延長して直進性を高めていた。
ニヌハ2世号では直進性に不安があるが、加工するか否かを判断するデータが集まっていない。

分析〜時間との戦い

早速カヤックセンターに戻り、打ち合わせを行う。

ラダーは装着が必須と判断した。
装着可能なパーツも手に入ったが、あるべき姿も論じられた。
ニヌハ2世号としてのあるべき姿が作れるかどうかは、まさに時間との戦いだ。

ウエザーヘルム(風上を向く傾向)も対策が必要だ。
漕ぎ手を前に移動させ、バウトリムにするとさらにこの傾向が強くなるようだ。

復元力の確保も重要な課題だ。
漕ぎ手を増やすことも可能ではあるが、それが解決の方法かどうかは不確定要素も多い。
船底にバラストを積むことも考えられる。
あるいは、ニヌハ1号を使用して組舟を作るのはどうだろうか?
それはあまりにも大きな計画変更ではあるが・・・
俺たちは、あらゆる試験を1週間で終わらせねばならない。
これらの解決を図らなくては、とてもレースをメイクできる状況ではない。
最悪の場合、スタート地点の古座間味の海を迷走するだけになってしまうだろう。

2003年、俺たちは、カヤックで沖縄から奄美に渡った。
2004年、俺たちの前を走るチームがリタイヤしていく中、小さなニヌハ1号でサバニレースを完漕した。
俺たちは、他人が不可能と判断しても諦めることをしない。
前に進むだけ。

ニヌハ2世号に俺たちの魂が込められた時、俺たちの守り神「ニヌハ玉」を船首に祀る。
写真はニヌハ1号。