青いREBECCA

06.02.19 冬の夜間航行
これまで、和歌山マリンサービスにお願いして、船としての改善を進めてきた。
今回もエンジンのハーフカバーが完成し、一瞬「船内機かな?」と思えるようになった。
エンジンを引き上げるシステムも完成した。
こちらも、ナイスなアイディアのカスタマイズだ。
次に必要なことは、ヨットとしての機能。
こちらは、シングルハンド艇の作成に詳しい、青木ヨットに是非とも依頼したい。
そんな思いが、REBECCAを再び田尻港まで向かわせる夜間航行の計画となった。
厳寒の冬の海を、太陽の恩恵のない深夜に進むのだ。
常に風を受けるヨットのデッキ上は、時間の経過と共に容赦なく体から熱を奪うだろう。
この過酷な回航に仲間が集まってくれた。

前日 午前11時
深夜の出港に向けての準備をする。
改善から戻ったストームに、ハンクス金具を取り付ける。
キャビン内にフックや小物いれを取り付ける。
ライフジャケットや、セーフティライン等の装備も分かりやすく配置した。
暗闇であたふたしないためだ。
もちろん、メインセールやジブセールも取り付けを完了し、出港を待つばかりに準備した。


午前2時25分
簡単に航行計画を説明し、手際よく離岸。
暗闇の冷水港を後にする。
可能な限りの装備を身につけているせいか、寒さはそれほど感じない。
風は弱く、潮流の影響を考えて、エンジンも併用して進むことにした。


午前4時30分
予定の灯台の確認に手間取ったが、転進ポイントを無事に通過し順調に北上中。
難所の海峡、しかも逆潮の中を、REBECCAは快調に進む。
しかし、時間の経過と共に風が体から熱を奪う。
寒い。カイロも効いている感覚がない。末端が凍え始める。
仲間が持ち込んだストーブでお茶を入れる。
暖かい一杯のお茶が、身体を温めてくれる。
暖かい飲み物が、これほどありがたいものだったとは・・・。


午前7時00分
朝日の中を進む。
寒さはピークを迎える。
エンジンを停止して、帆走を試みるが、なかなかスピードに乗れない。

やむなく、エンジンを併用し続けるが、エンジンが静かなので助かる。
関西空港島が遠くに見える。
目的地付近のゲートタワーが、かすかに見え始めた。
快調に進むREBECCAをジェット機が追い抜いていく。
関西空港島が近くなってきた証拠だ。
目的地の港に架かる橋も確認できるようになってきた。


午前9時15分
田尻港に入港。
高級そうなヨットの間を抜け、一番奥のバースへ着岸する。
冬の寒い海を夜間航行で渡ってくる物好きは少ない。
30年を経過したおんぼろヨットが、誇らしげな表情に見えた。
この後、青木ヨットの吉村教官と改善ポイントの打ち合わせを行い、今回のミッションを完了した。
数週間後、REBECCAはさらにver.upすることだろう。
もちろん、次の航海の為に・・・。