--  ツールドおきなわ  --

2006.11.09

ライターの堀田貴之氏の提案で始まった、「ツールド・おきなわ」で沖縄本島一周走破コース(313km)チャレンジ。
練習期間中に気管支炎になってしまった僕はついに沖縄入りした。
病人らしい生活は終わり。
ここからは、豪快なアウトドアマンを演ずるのだ。
まずは、いつものバー2件へ。
極上のアウトローと、極上のラムのお出迎え。
いやー、飲んだ飲んだ。
咳をするのを忘れるほど・・・。




2006.11.11 6:35

沖縄センチュリーライドのスタート地点、名護市民会館前に、全国から集まった勇者達が集結した。
昨日は、また喉の状態が悪くなり、ビタミンCを大量に摂取した。
また、飲んではいけない量の風邪薬と栄養ドリンクを飲み込んだ。
そのおかげなのか、朝には熱が下がっていた。

走れると言うことだ。
スタートまで30分を切った。
本格的なロードレーサーの中で、小径のMV3が黒く光っていた。



2006.11.11
9:45

トップ集団に程近い位置からスタートした117番高橋君と僕は、2時間45分を経過した時点でもトップが見える位置を走っていた。
走行ペースは、計4回の単独練習中に経験したことのないハイペース。
このポジションでは、周りにいる男女は全て自転車愛好家かレース好きな人たちと思われる。
サイクリングとは名ばかりの、とんでもない競技に参加してしまったようだ。



2006.11.11 11:04

スタートして4時間を経過した。
ミーニシが吹き荒れる海沿いの北上を終え、本島最北端の「奥」へ向かう上り坂が始まる。
上り坂では、ロード野郎(女性含む)の脚力に差をつけられてしまう。
徐々に息が上がり始める。

【ミーニシ】新北風。“みー”は「新しい」という意味。“にし”は「北」と言う意味。
沖縄の冬は冷たい北風が吹く。
ミーニシは北風の始まりを表している。



2006.11.11
11:52

昼食を終えての休憩。
休憩ポイントでの栄養補給や、塩分・水分の補給は重要な要素。
大会で支給される昼食以外にも、サプリや行動食を持参する選手も多い。
次のスタート時間が迫る。
しかし、まだ到着していない選手もいるのだ。



2006.11.11
13:33

やんばるの坂道が始まった。
スポーツジムでは、ランニングマシンに斜度をつけて走っている。
通常は30分。気分がのれば1時間。
だが、そんなものではない。
午後は坂道ばかりだと覚悟はしていた。
その覚悟がさらに甘かった。
トレーナがいたらこういうのだろう。
「次の1時間は登りね」・・・「終わった?じゃあ、それをあと4セット、がんばって!」


TOP集団は既に見えない。




2006.11.11 16:22

朝焼けの中をスタートした。
今は、夕焼けに包まれている。
ゴールまでは、もう1つ峠を越えなくてはならない。

ところで、ロードバイクのサドルは小さくて硬い。
柔らかいサドルはいくらでもある。
では、なぜ使用しないのか?
答えは、小さいサドルのほうがこぎやすいからだ。
お尻の痛みは我慢しても問題ないが、足が攣ったら前に進めない。
どっちを選ぶ?
僕は前に進む。




2006.11.11 17:02

TOPから遅れること17分。
喜瀬ビーチパレスに到着。
1日目の戦いが終わった。

本日の走行距離は184km。
消費したエネルギーの補給と、筋肉の補修に必要なたんぱく質の補給が今夜の仕事だ。

季節はずれのリゾートホテルのベランダからは、強風に波立つ海が見えた。


この後、日が暮れても続々とゴールする勇者達が続く。



2006.11.12 6:43

2日目のスタートが迫る。
法螺吹き男爵も高橋君も、気合充分!
空気圧やその他の確認をして、スタートを待つ。
北風は強く、昨日より肌寒い。

僕はロングスリーブのブレスサーモを選択した。



2006.11.12 7:23

日目は、西海岸の名護から南下し、その後東海岸の金武町へ抜け、うるま市、中城村などを南下して那覇に入り、
那覇からは58号を北上して1日目スタートの名護市民会館へ戻る。

:00のスタートから23分が経過した。
山道が始まる。
このような混戦状態でも、脚力で優位な者は前に出ることができる。

TOPライダー達は、上り坂が始まると、とたんに僕を置き去りにする。
TOP集団から脱落していく者達が、僕の数少ない獲物だ。




2006.11.12 8:03

モータースポーツの世界で、エンジンが非力な場合、前に出るにはどうしたらいいか?
空気抵抗の少ないボディ形状を得ることも重要だが、多くは腕に頼ることになる。
コーナリング手前のブレーキをぎりぎりまで我慢すれば、先にブレーキングした車両を抜き去ることができる。
コーナリングスピードを落とさないことも重要だ。
コースは信号のある都会に差し掛かりつつある。
公道、そう公道なら僕の領域だ。
小径タイヤの走行抵抗は、路肩のライン上を走ることにより軽減させる。
走行中は必ず先行車両のスリップストリームに入る。
下り坂は、体を前傾し空気抵抗を最小にする。制限速度を大幅に超えてもペダルの力を緩めない。
そして、次に来る上り坂を可能な限り惰性で登る。
信号のタイミングを計りながら、スピードコントロールし、赤に変わる前のダッシュ、青に変わった瞬間の無減速通過の確率を上げる。
そうすれば、正真正銘の先頭集団の仲間入りだ!

もちろん、周囲の人たちの実力はぜんぜん違う。
我ながら、アホアホ作戦だ。




2006.11.12 11:05

昼食が終了してのひとコマ。
TOPに程近い時間に昼食を取れたので、休憩時間はたっぷり。
しかし、走り続けた筋肉と食べ続けた胃が悲鳴を上げ始める。

あと何時間かで全てが終わる。
そのくらいは大丈夫なはず。




2006.11.12 15:09

恩納村を通過し、名護のリゾートホテル群が見えてきた。
向い風は長い上り坂と同じ。
真の実力のある選手達にぶっちぎられる。
そんなにひどいタイム差はないだろうけど・・・。




2006.11.12 15:15

ゴール手前のビーチで休憩。
高橋君もすぐに追いついてきた。

記念撮影タイム!
ここから先はわずかなパレードでゴールだ!
このビーチではしゃぎすぎたので、ゴールタイムは15:55だ。
走行距離320km!
サイクリングとは名ばかりの激闘の2日間。

スモールホイールに跨る初心者が、ロードバイカーたちに一泡吹かせる計画は、僕が泡を吹いて終わった。
いや、それでも勲章には違いない。
何が凄いって、僕が凄い!
練習は4回のみで、みごとに完走できたのだから。
気管支炎部門優勝にしてあげたい。